トロコン済の者による『イースIX -Monstrum NOX-』の感想・レビューです。若干のネタバレもあります。
イースIXってどういうゲーム?
2019年9月26日にPS4で発売されたナンバリングがついているイースシリーズの第9作目です。主人公は引き続きアドル・クリスティンが務めています。時系列的にはVIIの後で、アドルの年齢はここまでのシリーズの中で最高齢の24歳となっています。
今作の舞台となるのは『監獄都市』とも呼ばれるバルドゥークと言う街です。この地に訪れたアドルとドギは、最近街で噂になっている“怪人”と呼ばれる者たちの騒ぎに巻き込まれてしまいます。今作は、このバルドゥークを中心に冒険をしていきます。
アクション面はVIIIのシステムを踏襲しつつ、そこに『異能アクション』という新システムが加わっています。これによりアクションが前作から大幅に進化をしました。
IXから始めても大丈夫?
世界観はどのナンバリングも共通ですが、ストーリー的に繋がりがあるのはIとIIだけです。III以降は各地を転々しながら、訪れた土地で冒険をするゲームとなっています。なので、IとIIだけはセットで遊ぶ前提で、基本的にはどの作品から始めても大丈夫です。現に管理人もイースシリーズを始めたのはVIIIからでした。
これからシリーズを始めるという人は、主人公は赤毛の冒険家アドル・クリスティン、その相棒に壁壊しを特技とするドギというキャラがいるということだけ知っていれば問題ありません。
ゲームの方も難易度設定が5段階あるので、アクションが苦手という人でも遊びやすい作りになっています。
クリアまでの時間は?
ノーマルだと大体50~60時間あれば隠し要素を含めて全部クリアできます。
トロフィーコンプリートとなるとナイトメアでクリアのトロフィーがあるので引継ぎ周回を視野に入れると、プラス10時間ってところでしょうか。もちろん1周目からナイトメアで始めれば、1周でトロコンすることも可能です。
良かった点
アクションの幅が広がった
VIIIのアクションをベースに『異能アクション』という新しいアクションが追加されすごく新鮮で面白かったです。
中でも壁などを駆けあがる『ヘヴンズラン』や滑空をする『ハンターグライド』といった縦方向へのアクションや空中アクションは、今後のイースシリーズにも影響を与えるのではないでしょうか。
セミオープンワールドになった
今まででしたら街もフィールドもダンジョンもいくつかの区画に分かれて構成されていました。ですが、今作からは全部シームレスになっています。建物やダンジョンなどに入る時だけ切り替えが発生して、中に入ると全部シームレスです。
近年のゲームじゃ別段珍しいものではないですけれど、ファルコムもここまで来たかって感じになりました。異能アクションという新しい試みもあったりしてIXは凄い意欲的な作品だなと思いました。
安定のファルコムサウンド
今作も街やフィールド、ダンジョンなどイースらしいBGMがたくさんありました。中でも『Norse Wind』が初めて流れてきた時は、その場面も相まって衝撃でした。イントロがめちゃくちゃカッコイイです。
その他にも『Cloaca Maxima』『Glessing Way!』などの鉄板曲をはじめ、『The Cave of Groan』『Judgement Time』なんかも個人的に好きです。
ただ、ラスボス戦が耳に残るような曲じゃなかったのがちょっと残念でした。
個性的なNPCが多かった
活動の拠点となる『ダンデリオン』のマスターであるお姉口調のシャンテ
アドルにもの凄い執着のある『あり得ん』が口癖のイングリド
ことあるごとに点数をつけてくるシャトラール。
そして、すんごい厨二な感じのアプリリスなど沢山の個性的NPCがいました。
中でもイングリドは一部で『あり得んさん』と呼ばれるくらいのネタキャラポジションなので、次回作以降機会があれば登場して欲しいNPCですね。序盤の尋問シーンは最高でした。
全然関係ないですがPCの中で一番好きだったのは人形です。
別れをちゃんと描いていた
イースシリーズは基本的に一期一会です。その地の冒険が終わるとそこで出会った人々とはお別れになるんですけれど、これまでちゃんとした別れが描かれたことはありませんでした。エンディングもアッサリとしたものが多かったです。
それがIXになって初めてしっかりと仲間との別れと旅立ちが描かれていました。長時間遊んで慣れ親しんだ仲間や街との別れは中々の感動シーンです。次回作以降もこういう描写は続けていってほしいですね。
悪かった点
FPSが安定しない
数度のアップデートで改善はされましたが、バルドゥークの街中のフレームレートは体感で30FPS程度です。改善前は目が疲れるほどでした。ただ、これはバルドゥークが広く、NPCや建物が多いので仕方がないのかなと思っております。
逆にフィールドやダンジョン内はめちゃくちゃ快適でした。
冒険感がなかった
今作は巨大都市バルドゥークを中心に冒険をしていきます。ですが、ダンジョンなんかはバルドゥーク内の地下や洞窟など閉鎖的な場所が多く、冒険というより探検をしている感の方が強かったです。
中盤になると街の外に出られるようになるんですけれど、開放感のある場所に出てやっといつものイースが始まったって感じになりました。
と言っても遠出ができるという訳ではなく、あくまでバルドゥーク周辺を探索する程度です。なのでワクワク感はイマイチでした。
NOX集めが面倒
2部以降、話を進めるためにNOXというポイントを貯めないといけません。しかし、これを貯めるのに時間がかかるので面倒でしたね。サブクエストをクリアすればある程度貰えはしますが、最大まで貯めるとなると、街中で出現する敵をひたすら倒し続けなければなりません。
これが普通に30分とかかかったりするので、ただの作業でしたね。この作業が3部、4部と最後までずっと続くのでNOX集めは非常に退屈でした。
過去作ネタがいつもより多かった
イースシリーズはいつも本筋とはあまり関係ない所で、過去作を遊んでいるとニヤリとできるようなネタを少し入れてきます。ですが、今作はその過去作ネタがいつもより多く、物語にも絡んでくるものがあったのは気になりました。
全然知らなくても問題はないのですが、もし気になった場合は過去作を遊んでみるのもいいでしょう。と言うかPSPで発売されたのをイースコレクションとして1つにまとめて移植して欲しいですね。
グリムワルドの夜が今一だった
イースVIIIで例えると迎撃戦や防衛戦のような要素ですが、VIIIほど面白みや爽快さがありませんでした。
何がダメだったのか考えてみたところ、敵が出現する位置があらかじめ分かっている上に固まっているので、タワーディフェンスっぽい要素が薄くなったということ。早い展開も求められないので相当ヌルかったです。破壊戦も結局ボスだけ倒せば簡単に最高ランクが取れるので今一やりがいがありませんでした。
でもBGMはめちゃくちゃカッコよかったです。
最後に
前作のVIIIの完成度が高かっただけに、IXはどうしても比較されがちになってしまいます。現に不満に感じたのは大体VIIIと比べた点ばかりでした。なので、VIIIで初めてイースを遊んで面白かったからIXも遊んでみるっていう人は、ちょっとガッカリするかもしれません。そういう場合は先入観をなくして遊んで欲しいですね。IX単体で見れば間違いなく名作です。
VIIIからIXでめちゃくちゃ進化したのでXにも期待しています!